顕在層から潜在層へ:マーケティング戦略の大転換
2024.08.20
最終更新日:
2024/8/20

マーケティングにおいて、顕在層と潜在層に対するアプローチは大きく異なります。
事業成長のアプローチとして、多くの経営者・事業責任者、マーケティング責任者らが頭を悩ませている「顕在層マーケから潜在層マーケへのシフト」。
この課題について、私の経験を交えながらお話ししたいと思います。
(ブランディング奮闘記 27の教訓も合わせてどうぞ)
顕在層と潜在層の違い

上記のような逆三角形のファネルで説明します。
顕在層とは、すでにニーズが発生している人たち。「ニーズが顕在化」という表現ではわかったような気になってしまいますが、要するに「何が欲しいか(必要か)をはっきり自覚している状態」や「『これが欲しい!』と明確にわかっている状態」といったような状態です。
潜在層とは、現時点ではニーズが顕在化していない「そのうち客」と言われる人たちを指します。まだ明確に自覚していないということです。
顕在層と潜在層の違いは、購買に向けた検討フェーズの違いであり、求められるマーケティングのアプローチが違うということです。
Webマーケティングの世界では、顕在層向けのマーケティングが日々進化しています。
SEO、検索連動型広告、リターゲティング広告、Webサイトのコンバージョン率改善など、どれも顕在層に対して効率的にアプローチできる頼りがいのある手法です。
例えば、「ゴールデンウィーク 韓国」と検索する人がいたとしましょう。この検索ワードから、「この検索ユーザーはゴールデンウィークに韓国旅行に行きたい」と推測できます。そして、キーワードに連動して広告を出し、検索したユーザーにアプローチします。
このように、顕在層マーケティングは、ニーズが生まれて情報収集している瞬間を捉えて効果的にアプローチできる方法です。そのため、顧客獲得単価も比較的安価です。
まだ整備されていなければ、優先して取り組んでいく施策でもあります。受け皿をまずはしっかり整えることです。
顕在層マーケの罠:5%の顧客だけを熱心にアプローチしていませんか?
しかし、顕在層のお客様はそれほど多くありません。市場における顕在層の割合は限られています。
これは「95:5ルール」とも呼ばれています。

例えばある商品の購買サイクルが5年に1回なら、1年には20%が購入、四半期では5%が購入することになります。つまり、御社のビジネスの四半期の売上目標を達成するためにアプローチできる顕在層は5%しかいないのです。市場の大部分は潜在層が占めているのです。
(参考:Advertising effectiveness and the 95-5 rule: most B2B buyers are not in the market right now)
「売上の頭打ち」や、「顧客獲得単価の高騰」の要因には、この顕在層ばかりアプローチをしていて、潜在層を含む新規顧客の開拓に全く手が回っていないこともあります。
経営資源の非効率な資源配分が行われ続けている可能性がある、とも言いかえられるでしょう。CEOやマーケティング責任者はとくに注視すべきポイントです。
顕在層マーケがやりやすいのは、カテゴリーニーズが発生している段階だから
顕在層マーケの魅力は、その手軽さです。
その理由は、顕在層はすでにカテゴリーニーズが発生している状態なので、シンプルなアプローチでも成果につながりやすいんですよね。
例えば、「夏に海外旅行をしたいな」と思って「海外 夏 おすすめ」などと検索している時点で、その人の中には海外旅行というカテゴリーにニーズが発生しています。なので、「ハワイがおすすめです!」「韓国旅行どうですか!」と、ストレートに差し出すだけでもコンバージョンにつながる可能性が高いのです。
「この商品はこのカテゴリに属しています」。
このメッセージだけで十分に検討候補に入りやすくなるのです。
また、顕在層の人たちは情報を欲しがる意欲が高いです。情報を検索している時点で、記事タイトルや本文をしっかり読んでくれます。
Webを視聴する姿勢は、前のめりの状態(リーンフォワード)です。
だからこそ、デジタルマーケティング初心者でも、顕在層マーケでは再現性高くそれなりの成果を出すことができるのです。
潜在層マーケは、需要喚起の創意工夫からスタート
一方、潜在層へのアプローチは一筋縄ではいきません。顕在層へのアプローチとは大きく異なります。
潜在層は、今すぐには商品やサービスを欲しいと思っていません。必要である、欲しいと自覚していないのです。そのため、「この商品をどうぞ!」とシンプルに提示するだけでは自分にとってなぜ必要なのかがわからず、興味をもってもらえず、購買行動には結びつきづらいでしょう。
潜在層に「欲しい」と思ってもらうためには、商品がその人の生活においてどのように役立つのか、どんな良いことをもたらしてくれるのかを丁寧に伝える必要があります。
需要を掘り起こし、ニーズの顕在化へ歩んでいただくのです。
また、潜在層は、そもそも検索していません。
検索していないので、企業側から情報発信をしてまずは知ってもらう努力が必要です。
参考:ムロヤ×山本寛氏対談「リサーチのプロに聞く、認知施策の重要さ」
しかし、企業が発信する情報に、多くの人は興味がありません。
なので、コンテンツに目を通してもらうことすら難しい場合も多いです。
ではどうアプローチしていけばいいのか?
Webを視聴する姿勢は、後ろに寄りかかった状態(リーンバック)を想像すると良いでしょう。ソファに寝そべってスマホでTikTokやInstagramをダラダラと見ている状態です。
情報を読んでもらえて当たり前とは考えずに、注意を引き付けて、興味を持ってもらえるような文章で、わかりやすく伝えることが重要です。具体的には、見出しやキャッチコピーを工夫して、「もうちょっと読んでみようかな」と思ってもらう必要があるのです。
ここでざっくりまとめますと、下記のようになります。
* * *
顕在層マーケではカテゴリニーズに応えればいいので、シンプルな訴求でも一定は響く。
潜在層マーケでは潜在ニーズに気づいていないので、創意工夫して需要喚起する必要がある。
顕在層マーケでは、情報収集段階で効率的にアプローチできる。
潜在層マーケでは、日常接点からアプローチが必要。
顕在層マーケでは読む気満々だから、だいたい見てくれる。
潜在層マーケでは、ちゃんと読んでくれない前提でアプローチする必要がある。
* * *
私自身も、SEOやWebサイト改善の顕在層マーケティング、そしてSNSやPRやブランドマーケティングといった実務を積み重ねてきましたが、本当にお相手としている人のテンションの違いを痛感します。
顕在層へのアプローチは比較的シンプルですが、潜在層へのアプローチには、消費者理解に基づいた価値提案が不可欠です。
いつもと同じような顕在層マーケの捉え方では、最適なアプローチは難しいのです。

潜在層マーケへのシフトの例
このように、顕在層マーケと潜在層マーケでは、求められるスキルやとるべきアプローチは別物です。
潜在層へのアプローチに苦戦しているならば、まずは潜在層のフェーズのお客様の立場を想像して、自社のWebサイトやコンテンツを見直してみましょう。
潜在層のお客様のことを深く理解するための投資を進めましょう。マーケティング予算の配分を見直しましょう。
・消費者行動の調査、ブランド調査を実施し、潜在層のお客様のことを深く理解する
・カスタマージャーニーマップで、フェーズ別のお客様の行動や心理を整理
・超ファネル思考で顕在層と潜在層のファネルを一気通貫で脳内整理
・カテゴリニーズに気づいていなければ、「不」を示し、必要性に気づいていただく
・お客様の生活に即して自分ごと化するように価値提案する
・現状の利用シーンの提案で、購買動機は刺激されるかチェックする
・パッと見でも響くようにマーケティングコミュニケーションを調整する
・潜在層に響くコピーを作ってみる
・見出し要素にハッとするフレーズを入れて、興味を引けるようにする
・SNSやPRなど、日常的な顧客接点を増やす
など、改善余地を探ってみましょう。
顕在層マーケから潜在層マーケに領域を広げていくマーケターは、手癖は一度すべて捨ててしまいましょう。お客様を知ることから再スタートしましょう。

ここでちょっと想像してみてください、
もしも95%の潜在層を開拓できれば、ビジネスは大きく飛躍すると思いませんか?
ぜひ潜在層マーケへの挑戦を始めてみてはいかがでしょうか。
この記事が役に立ったと思ったら、ぜひ職場、同僚の皆さんにシェアしていただけると嬉しいです。
顕在層マーケから潜在層マーケへのシフト、フルファネルでの挑戦を、スノードームではご支援いたします。
詳しくはマーケティングコンサルティングのサービスページをご覧ください。





