ビール3杯理論〜酔った状態でも使えるのが良いUI〜

2025.05.07

最終更新日:

2025/05/07

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「コンバージョン率を上げたい」という課題があってWebサイトやアプリの改善に取り組もうとしても、「具体的にどこから見直せばいいのか分からない」と立ち止まってしまうこともあるでしょう。

ウェブサイトのUI改善やコンバージョン率改善にて、とりわけスマートフォンのような外部のノイズや干渉などの外部影響を受けやすいデバイスにおいては、「パッと見でわかる」「頭にスッと入ってくる」デザインが求められます。

 

人は、一瞬でもストレス感じたら、「やーめた」となる動物。

 思ったように訴求できず、心や行動を動かすこと(コンバージョン)ができなければ、直帰や離脱につながります。

そのためには、ユーザーの一瞬一瞬の知覚を意識して設計していくことが重要です。

 

私は、UI改善の際に心がけていることがあります。(コンテンツ制作やプロダクトデザインなど広範に使えると思います)

それは、「ビールを3杯くらい飲んで少し酔っ払っている状態でも分かりやすいデザイン」にするということです。

 

ビール3杯理論」と名付けて、仕事の場でつかっています。

ビール3杯理論とは

ビール3杯理論とは、ビールを3杯飲んだような状態でも「分かりやすい、読みやすい、使いやすい、見つけやすい、探しやすい」デザインが、真に分かりやすいデザインだという考え方です。

要は「少し酔った状態でも使えるものが、いいデザインである」という考え方です。

デジタルマーケティングの初心者に教育する際に、よく伝えていました。

この理論の背景にある考え方や活用方法を、私の体験も交えながらお話しします。

「酔った状態でも使える」とはどういうことか

なぜビール3杯というアナロジーなのか。

ビールを3杯ほど飲むと、視線がうまく定まらなかったり、文字を読むのが面倒に感じたりします。判断力が少し鈍ったり、注意力が落ちたりもしますよね。

アルコールの影響で、人間の脳機能は低下します。具体的には、判断力や、集中力や注意力といった思考に関するものや、視覚(眼球運動、視野)や触覚などの知覚が低下します。

 

ざっくりいえば、

「少しでも脳に負担がかかるものは、途端に分からなくってしまう」

のです。

これは多くの人にとって体験したことのある状態だと思います。この体験を思い出すことで、実際にプロダクトに触れるユーザーの立場になったシミュレーションがしやすくなります。

そういった“ちょっとポンコツな状態”でも、難なく使えるWebサイトやアプリを目指しましょう、というのが「ビール3杯理論」の基本的な考え方です。

ユーザーのデフォルトモードは興味ない・どうでもいい

なぜこの視点が必要かというと、ユーザーは常に完璧な状態でサービスを使ってくれているわけではないからです。

コンバージョン改善に取り組む作り手の立場では、「机に向かって前のめりの姿勢」で集中してデスクトップPCを使ってWebサイトなどを見たり、考えたりすることが多いですよね。

コーポレートサイトをリニューアルするとして、作り手の立場だと「ここにヘッダーがあって、ファーストビューがあって、CTAがあって……」と、1ピクセル単位でこだわって作り込みますよね。

でも、ユーザーはそんな風にサイトを見てはいません。ダラダラしながら、なんとなく眺めているだけのことも多いでしょう。

現実としては、ソファで寝転がりながらスマホを触っていたり、通勤電車で片手でスクロールしていたり、夜中にベッドに入りながらぼんやりした頭でネットサーフィンしていたり…。

ユーザーがプロダクトを使うときの「現実」は、思った以上に雑で、集中していない場合がほとんどです。

お客様モードになっているあなた自身もそうではないですか?隅から隅までじっくり観察し、熟読、吟味なんてしていないはずです。

だからこそ、意識がフル稼働していなくても、「自然と目に入る」「なんとなく押してしまう」「迷わない」という設計が大事になります。

酔っていてもAmazonで買い物ができる理由

この理論を思いついたきっかけは、私自身のAmazonでの買い物体験です。

お酒をちょっと飲んだあと、夜中になんとなくスマホでいい本がないかなとAmazonを見ていました。当たり前ですが、酔っていてもスムーズにお買い物が完了したのです。

これってすごいなと思いました。

普通に「今すぐ買う」とか「カートに入れる」とかのボタンがちゃんと目に入ってくるんです。ちゃんと「購入する」も押せます。ページの下の方まで見ていくと「この商品を買った人はこれもおすすめ」というレコメンドが出てきます。3列あるんですけど、3列目がちょっとだけ見切れていて、「あと1個見たい」って気持ちになって、ついついスクロールしてしまいます。そして、気づいたら購入していたのです。

Webはセルフサービスメディアと言われています。自分で探して、自分で比較して、自分で買うものです(AIエージェントが革命をもたらしつつありますが)。

だからこそ、ちょっとでもストレスがあると「もういいや」ってなるはずなんですけど、Amazonではそれを全く感じませんでした。

酔っていても、ちゃんと探せてスッと買える。

それって本当にすごいことなんですよね。この経験から、「自分が担当しているサイトはどうだろう」と考えるようになって、改善点に気付けたこともありました。

ユーザーは少しでも脳に負担がかかると、「あ、もういいや」とすぐに離脱します。酔った状態でもそうならずに使えるUIは、認知負荷が少なくて、誰でも自然に扱える良いデザインだと思います。

だから、UI改善であれば

  • ボタンは大きくしよう

  • 色は見せたいところだけ強調しよう

  • 回りくどい表現はやめよう

  • CTAのオファー文を見直そう

などの認知負荷を和らげるような工夫が頭で思い浮かべやすくなります。

視線を惑わせないデザインにできたり、離脱を発生させないようなスムーズな動線設計ができたりします。

脳に負担をかけずに訴求、認知させられるクリエイティブを考えられます。

「ビール3杯理論」の裏にある世界中の知見

ただの個人の実体験から生まれた考え方のようにも思えますが、この「ビール3杯理論」の裏には、世界中の知見をギュッと圧縮されています。

そして、誰にでも扱いやすい形に仕立てられているのです。「コンバージョン改善のメソッドのユニバーサルデザイン」とでも言えるでしょうか。初心者にも優しいです。

例えば、UXの世界で有名なピーター・モービルの「UXハニカム」。これは「使いやすい」「信頼できる」「見つけやすい」といったUXの要素を整理したフレームワークです。

また、行動経済学の権威であるダニエル・カーネマンの「二元過程理論」では、人間の思考は「システム1(直感的で速い思考)」と「システム2(論理的で遅い思考)」に分かれているとされています。

多くのユーザーはシステム1、つまり「考えずに反射的に判断する状態」でWebサイトやアプリを使っています。このことからも、ビール3杯理論が目指す「無意識でも使える設計」の大切さが見えてきます。

意識的なお客様モードだけではなく、無意識のお客様モードへのアプローチが重要だと心得るのです。

そして最後には、私(ムロヤ・リョウヘイ)のAmazonのお買い物体験が根底にあるのです(笑)


「ビール3杯理論」はチームの共通言語になる

「ビール3杯理論」は、マーケターにもデザイナーにもエンジニアにも分かりやすいのが特長です。チームの中の共通言語としても便利です。

専門的に「ファインダビリティ」とか「アクセシビリティ」などの用語で説明しようとすると難しいし、初めて聞いた人はピンとこなかったりする。

しかし「ちょっと酔ってても分かるか?」と言えば、全員が一発でイメージが浮かびますよね。(お酒が飲めない方には、高熱が出たした夜など、体調不良の状態をイメージしてもらうと伝わりやすいかと思います)

「じゃあこれって酔ってても押せる?」「ビール3杯飲んだ状態でも見える?」のような会話ができるようになると、チームの全員が同じ視点を持てるようになります。

話が早くなるし、実行力も上がるし、なにより「ユーザーの見え方」にちゃんと意識が向くようになる。

みなさん自身はもちろん、チーム内でも「ビール3杯理論」を使い倒してほしいです。

【LANY×スノードーム コラボ企画 第1弾】「ビール3杯理論」

「ビール3杯理論」については、SEOコンサルティングやデジタルマーケティング支援、オウンドメディア運営などを行う株式会社LANY様とのコラボレーションによるYouTube動画でも話しているので併せてご覧ください。

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