「超ファネル思考」で脱・部分最適。マーケターとしての視野を広げる 

2024.05.24

最終更新日:

2025/7/23

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Webマーケティングの世界で役立つファネルの考え方が、ブランド構築においては誤った捉え方のレンズになってしまう罠があります。

Webマーケティングに従事する方の多くは、サイト流入からCVに至るまでの流れはイメージしやすいと思います。しかしそれは、ファネルのごくごく一部。言い換えれば、お客様の生活やショッピング行動のごくごく一部です。

獲得系の施策だけでなくブランディング領域もマスターしたいなど、より全体最適なマーケティング戦略を設計したい方には、「超ファネル思考」を参考に、獲得型施策と認知施策をつなげて理解することをおすすめします。俯瞰することで、つなげて理解しやすくなりますから。

私のキャリアは、SEOや検索連動型広告、Webサイトのコンバージョン改善などのWebマーケティングからスタートしました。その後、ブランディングなどの認知施策の領域に幅を広げていったのですが、獲得型のファネルしか知らないままだったら、マーケターとして行き詰まっていたと感じます。

この記事では、獲得型のWebマーケティングに携わっている方に向けて、獲得以外の領域に目を向ける意義や、そのために使える「超ファネル思考」というフレームワークを紹介します。

Webマーケティングが担うのはファネルのごく一部

Webマーケターは、Google AnalyticsやSearch Consoleなどの数字に頼って業務を進めがちです。これらのツールから得られるのは、ページの表示回数(インプレッション数)やクリック数、クリック率、コンバージョン数などです。

しかし、それらの指標だけでは、サイトに訪れたユーザーが「どんな思考や興味関心をもっているか」までは見えづらいのではないでしょうか。

サイト流入を増やすために広告を打ったりSEO対策をしたりして、各指標の数字を達成するのもWebマーケターの大事な仕事です。

しかし、Webマーケターの担当領域は、あくまでもファネルの一部にすぎません。目先の数字の改善や達成で満足してしまうと、本質とはかけ離れた部分最適な施策を行なうマーケターになってしまいます。

マーケティングの全体戦略やブランディングを考える上で大切なのは、ツールから得られる数字だけでなく、市場全体の状況やお客様から得られる生のデータも分析し、商品やサービス自体の価値を磨いていくこと。これは、実務を通して私自身も痛感したことです。

なぜお客様は自社の商品を選ぶのか。反対に、なぜ離反に至るのかを理解しないままでは、全体最適のマーケティングは実現しません。ファネルの上段(アッパーファネル)に目を向けて、市場やお客様をよく見てみましょう。

顧客や市場にも目を向けるための「超ファネル思考」

お客様の視点で購買行動の全体像をイメージし、ファネルの各段階の解像度を高めていくと、「ボトルネックはどこか」の特定が格段に行いやすくなります。

そこで役立てていただきたいのが、デジタルマーケティングだけではなく上流のブランディング等も視野に入れた「超ファネル思考」という考え方です。

超ファネル思考

BtoBマーケを例に解説していきます。

[1]ブランディング指標

アッパーファネル(トップオブファネル)と呼ばれ、お客様がサイトに流入する前の状態です。獲得型のWebマーケティングにどっぷり浸かっていると、馴染みが薄い領域でもあります。

アッパーファネルで見るべき指標を考える際に欠かせないのがTAM(Total Addressable Market)という指標。TAMとは、現在の顧客はもちろん潜在顧客(将来的に獲得したいけれど、今は自社のことを認知すらしていない層)も含めた全体の市場規模を指す言葉です。

TAMから発想すると、認知度は「ターゲットとする市場において、自社商品を認知している顧客の割合」と言えます。また、何人が自社商品を選びたいと思っているのか(購入意向)、一度は利用したものの、今は利用していない人はどれくらいいるか(離反)などの指標から、ターゲット市場における自社の現在地が見えてきます。

ターゲット市場における自社の現在地をよく見渡すための調査として、次の3つの設問はシンプルでありながらも優れています。これは西口一希さんの書籍『顧客起点マーケティング』で紹介されていて、シンプルなのに得られる示唆が多く感銘を受けました。

<3つの設問>

・このカテゴリーに関して、知っているブランド名は何か

・これまでに買った(使った)ことがあるか

・どのくらいの頻度で購買しているか(毎日、毎月、三ヶ月に一回、最近は買っていないなど)

他にも、アッパーファネルの指標には、ブランドイメージ、戦略的ブランドエクイティの認知、 指名検索数なども該当します。

Webマーケティングにどっぷり浸かっていると、Webサイト訪問前の顧客のことがよく見えていない場合が多いです。これらのアッパーファネルの数字の意味や存在を知ることで、「今のペースでは、どのくらいのサイト訪問者が期待できるか」が見えてきます。

サイト訪問前の顧客がどれだけ自社に興味を示しているかや、競合との競争状況を知ることにもつながります。

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[2]デジタルマーケティング指標

獲得型のマーケターの得意領域です。私とは反対に「広報領域にどっぷりだけど、獲得領域にも幅を広げたい」場合は、ファネルの下の方([2]以降の領域)にも目を向けると良いでしょう。

例えば、BtoBのリード獲得においては、

・インプレッション数→クリック率→サイト流入数、リターゲティングマーク数

・サービスページ訪問数→フォーム遷移率→CVR→CV数

などの指標が考えられます。

問い合わせ経由のリードの受注率がいいと、そこだけに目がいきがちです。しかし、問い合わせに至ったということは、どこかで認知して指名検索などでサイトを見つけて訪問し、問い合わせをしたのだと考えられます。

また、「毎月コンスタントにリードは取れるものの、いつも同じような客層だなぁ」と感じていたとします。この場合も、インプレッション数などの数字ばかり見ていて、「どのような見込み客にリーチできているのか(どのような見込み客の認知をとれているか)」の視点がないメディアプランニングや、コンテンツのオファーになっている可能性があります。

このように、「[2]デジマ指標」で課題を感じる時は、「[1]ブランディング指標」での改善が必要かもしれません。「超ファネル思考」によって、ファネル全体に目を向けやすくなり、全体最適の視点で施策を見直せるようになります。

※超ファネル思考のメインメッセージは「獲得型のWebマーケターはアッパーファネルにも目を向けよう」ですので、[3][4]の解説はさらっと触れるだけにさせていただきます!

[3]営業指標

リード獲得から成約までの流れでは、

アプローチ数→面談設定数(来店率)→商談化率→商談数→受注率→受注数

という指標があります。これらは主に営業部門が見る数字ですね。

[4]リピート指標

成約後のLTV向上を目指すファネルについては、F2転換率や、RFM分析の指標である「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」、継続率や解約率などがあります。これらは、おもにCRMやCSが見る数字ですね。

施策に行き詰まりを感じたら、「超ファネル思考」に立ち返る

施策に行き詰まりを感じたら、「超ファネル思考」に立ち返ってみてください。自分の担当領域以外も含めた広い視野で、「この辺がボトルネックかもしれない」「来期はファネルのこの箇所にテコ入れしよう」と発想しやすくなるはずです。

CVRを10倍にする苦労と、アクセス数を10倍にする苦労と、認知率を10倍にする苦労のどれががやりやすいかいった吟味にも役立ちます。

BtoBであれば成約率を2倍にするか、商談数を2倍にするか、リード数を2倍にするか、認知率を2倍にするかなど。

(前提として、それら判断は業態やフェーズによって最適な打ち手は変わります。)

全体最適については、マーケティングの全体最適とは、最高の組み合わせパックのことのコラムも参考になると思います。

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