マーケティングの全体最適とは、最高の組み合わせパックのこと
2024.06.04
最終更新日:
2024/8/20

美しい絵画には、それにあった額縁を。それにあった美術館の展示空間設計を。
鑑賞者は絵画だけを見ているわけではありません。全体を捉えて感じているのです。
美しいと感じる全体の体験は、絵画・額縁・展示空間の最高の組み合わせから生まれています。
これってマーケティングも同様ではないですか?
たとえばWebマーケティングには、いろんな分野がありますよね。より専門性を高めるためにSEOはAさん、SNSはBさん、CRMはCさんとチャネル別に担当者を配置されることも珍しくありません。
もちろん、業務が専門化・高度化していくにあたって、分業が必要になることもありますが、その弊害として縦割りで分断されていることが多いと思います。
お客様は「SNSだけをフォローしている」「メルマガだけを受け取っている」わけではなく、多くの場合、複数の接点で情報を得ています。
そうなると、企業側もチャネルを横断してお客様の体験を考える必要がありますよね。縦の高度化から、次は横の連携技に意識を傾けるときです。
各部門を個別に理解するだけでなく、広く浅くでも全体を知っておくことで、分野を横断した施策アイディアが生まれやすくなります。
この記事では、そんな部門横断の組み合わせや、各施策をまるでいいチームのように編成する思考法について解説します。
部門を超えたナレッジ共有が合わせ技を生む
SEOとリスティング広告は合わせ技のイメージがしやすいと思います。どちらも検索接点であり、うまく噛み合わせることができます。
例えば、SEOですでに検索上位がとれていれば、その情報を広告運用者にも必ず共有する。そうすれば、「”SNSマーケティング支援会社”というキーワードで1位をとれているなら、リスティングは他のキーワードのオークション単価を高く設定しよう」と、補完できるようになります。
(戦略上、「SEOでもリスティングでも1位を取りにいこう」という判断もあるとは思います)
大切なのは、SEO担当と広告担当がきちんと会話をすることです。どちらの分野も、「どの検索キーワードを狙うか」によって、接点をもてるお客様が変わってきます。「CVが取れる検索キーワードは何か」を互いに共有することで、どちらもより効率的に施策を実施できるはずです。
せっかく良いナレッジがあっても、部門が分断されていたら、もったいないですよね。しかし、このような部門間の「分断」は珍しくありません。理由は、自分の担当業務にしか興味をいなかったり、他部署を巻き込んだ動き方が心理的にやりづらい環境などがあるでしょう。
SEOと広告の両方の経験があるマーケターなら、ナレッジの共有が有意義だと気付くでしょう。SEO担当と広告運用担当の仲が良い場合も、会話は起きやすいです。
また、分業化していても、SEOと広告運用担当が共通目標と相互理解をもっていれば、「リスティング広告で、最近よくCVが取れているキーワードってある?SEOで狙うキーワードに活かしたくて」と聞いてみたり、自ら管理画面を覗きにいきますよね。まずはコミュニケーションを増やし、連携を強化していきましょう。
「濃いユーザーリスト」を作って広告で活用する
オーガニック施策(SEOなどの広告以外の施策)で「濃いユーザーリスト」を集めて、広告で類似オーディエンス配信をする方法もあります。
検索からWebサイトにきたユーザーや、SNSのアカウントをフォローしてくれるような濃いユーザーがいると思います。コンバージョンの数は少なくても、それらのデータを集めて濃度の高い顧客リストを作っておきましょう。Facebook広告などは「そのユーザーと近い属性のユーザー」を機械学習で類推してくれます。そうなると、類似オーディエンス配信という形で、コアユーザーに近い層に広告を配信できます。
この技を知っていれば、いきなり高額な広告費を投じるのではなく、「広告で類似オーディエンス配信ができるから、まずは新規顧客獲得コストがちょっと高くてもSEOやSNSマーケを頑張ろう」と割り切ることもできます。
オーガニック施策の担当者と広告運用者の連携も必要です。
リードナーチャリングは部門を超えて取り組む
BtoBマーケティングであれば、リードナーチャリングこそ部門間連携の具合が如実に現れます。
メルマガで、日々サービスやセミナーの案内を送り、顧客に忘れられないようにする取り組みが多くの企業が行っていると思います。
また、リード獲得としてFacebook広告を出稿する施策もメジャーです。
これらを別々に考えずに、お客様の立場でひとまとめにした認知を想像してみてください。
並行して、セミナーの集客やリード獲得目的で広告を配信しておくと、ユーザーに「この前メルマガで見たセミナーだ」と思い出すきっかけを与えることもできます。なので、広告も出稿する時期を完全になくすよりも「薄く広く配信する」というメディアプランニングを見出すこともできます。
どの施策においても、マーケティング活動全体を通して、お客様に良い情報を得ていただくことや、良い思い出し方をしていただくことを忘れないでください。そのためにどんな施策があるか、どの部門と連携すべきかを考えるのが、良い発想法と言えます。
施策で得たデータを別の施策に活かす
施策を通して得たデータは、きちんと別の施策にも活かしていきましょう。ユーザー行動に基づいたターゲティングをする、とかですね。
マーケティングオートメーション(MA)ツールを使っている方は、当たり前に知っていることかと思いますが、例えば、あるメルマガを配信しました。「関連記事」として、Webサイトのコンバージョン改善に悩み持つ人が、思わずクリックするようなコンテンツを配置したとします。
メルマガのKPIとしてよくあるのが、配信数・開封率・その開封した後のリンククリック率や、コンバージョン率ですよね。一通一通の効果検証で考えると、「コンバージョン改善ノウハウの関連記事を貼ったけど、開封後のクリック率は1%か。ぜんぜんWebサイトに送客できなかったし、この記事は今後紹介しないでおこう」と判断すると思います。
でも、違った見方もできます。仮に開封数が1万で、コンバージョン改善の関連記事をクリックした人が100人だとします。その場合、クリック率は1%しかありませんが、「サイト改善・サイトCVR改善に関心がある人」を100人見つけたことにもなるんですよね。
この100人に対して、もう一度フォローメールで「サイトCVR改善特集」を送ったり、「サイトCVR改善に関するお困りごとのセミナーあります」と訴求したり、「ちょっとした相談会があるんですけど、どうですか?」とご案内したら、きっとそのうちの何名かはお申し込みしてくださるかもしれません。
メルマガ担当とセミナー担当が分業・分断されていると、なかなかこのような動きは難しいでしょう。
メルマガ×MA配信によって、「こんなコンテンツが響くんだ」とか「今この見込み客の方は、特にここにお困りごとがある方がいるんだ」というのが見える化できます。なので、そのデータをもとにインサイドセールスからより関心を持ってくださるご提案をしていくこともできますし、新たに発見したニーズからその層に刺さるセミナーやコンテンツを考えたり、他の施策にも存分に活かしていくことができます。
広告を使った、一石二鳥のA/Bテスト
ネット広告のA/Bテストで得られたインプットは、ネット広告のパフォーマンス向上だけに活かしていたらもったいないです。
どんな訴求軸やカテゴリー・エントリー・ポイント(消費者が特定の製品やブランドについて考える状況や瞬間)を狙うべきか迷ったときに、Facebook広告などで複数のバナーを出してどれが響いたかの情報もとてもに参考になります。
もしも1,000インプレッションでCTRが0%だったら、「これは全然響いてないな」と分かりますよね。
Webサイトへのオーガニックの流入数が少ないとなかなか実施しづらいですが、広告を使ってA/Bテストをすれば結果も早く知ることができます。
一定の広告費は必要になりますが、勝ちパターンを早く見つけるために、広告を使ってサクッとテストをしてみる。勝ちパターンがわかったら、メールマガジンでもそのタイトルやバナーを使ってアプローチしていくこともできます。広告を即座にできる実験の場として活用し、他のチャネルにも勝ちパターンを実装していくようなアプローチです。
SEOの「検索意図」は消費者理解の宝庫
SEOには「Google検索結果で上位表示するためのテクニック」というイメージがあるかもしれませんが、私からすると、それはSEOの一部に過ぎないと思っています。
私はSEOを「大量に情報があふれた中で、最適なものを見つけやすくする技術」と、とらえています。
SEOについてさらに踏み込むと、「なぜこの人はこれを検索したんだろう」という部分を理解する力とも言えます。この観点をもてると、検索行動から得た情報(=ユーザーのニーズ)に沿うコンテンツをWebやSNSで公開したり、Googleマップ上で見つけやすくしたり、さらには読み解いたニーズを商品企画に活かすなど、幅広くマーケティング施策を考える際にも役立ちます。
お客様のことを深く理解する営みとして、検索意図の読み解きを位置付けるのです。そうして得られた検索意図や消費者ニーズを、さまざまな活動に取り入れていくのです。
検索意図の読み解きは、SEO担当以外の企業担当者も知っておくべき情報です。
理想の分業は「まるで一人が全部やっているかのように」
マーケティング施策のサイロ化が進んでいるとしても、お客様自身は、検索エンジンもSNSもオウンドメディアも見ています。お客様の立場になって、全体最適で「便利なコンテンツとの出会い方」を設計することが大切です。
マーケティング施策の理想は「まるで一人の人間が全部やっているかのように分業する」です。単なる分業では業務が縦割りになり、意思疎通が疎かになったり、動きがバラバラになったりしがちです。縦で割ったら、ちゃんと横ぐしも通す必要があると心得ておきましょう。
一人ひとりが自分の業務だけに専念して、全体に関与してる人がいない状態になっていたら、それはマーケティング部門として赤信号です。
マーケティング部門はSEOやSNS、コンテンツ、メルマガなど、各パーツの寄せ集めでは効果を最大化できません。
部門を横断した最高の組み合わせを見つけ、チームで施策を実行していきやすい組織づくりを目指していきましょう。





