一人一行で市場を把握する “超名簿思考”とは?
2025.02.14
最終更新日:
2025/02/13

「シェア拡大ってどうやるんだ」
「マーケット全体からのシェア拡大ってどういうこと?」
「“マーケット全体”が何を指しているか漠然している」と感じた経験はありませんか?
その要因はきっと「市場」を何か別の大きな塊だと捉えてしまっているから。
掴みどころがなく思考のとっかかりも得られないのだと思います。私もそうでしたから。
まず大前提として、市場とは一人一人のお客さま、人間の集まりで成り立っています。
(経済学的な厳密な定義はここでは置いておきます。あくまで売上アップを目的とした場合の市場に対しての捉え方を噛み砕いて説明し、概念の理解のとっかかりを作ることを主軸にしています)
この世界で暮らしている人間の集合体なのです。
そこで見込み客を含む顧客の集まりを名簿形式で思い浮かべると、
市場全体を俯瞰するマクロの視点と、
顧客一人ひとりにフォーカスするミクロの視点とを行き来しやすくなると気づきました。
江戸時代の商人は、火事になったら顧客台帳だけは抱えて逃げたと言われています。
そんな江戸時代からある「名簿」という概念の枠組みで捉えればスッキリと整理して理解しやすいと気づいたんです。
なお、普通は名簿=顧客名簿というように、今お客様になってくれている人が記されているものです。ここに対して、まだ商品を知らなかったり買ったことのないような見込み客である方も含めた名簿を想像するのです。
私はこれを「超名簿思考」と名付けて、マクロな視点で市場開拓戦略を立てる際に時折使っています。
個人的な「市場全体を見渡すための思考ツール」ですが、同じような悩みを持っている人の参考になればと思い、シェアいたします。
売上アップに向けたアプローチする層を整理するときに役立つ
売上アップに向けた因数分解の切り口は様々ありますが、代表的なものはこちら。
売上=顧客数×客単価×購買頻度
しかし、この因数分解だけでは、それぞれの指標に対して具体的にどこからどう伸ばすか以上の発想がでてきません。
また、「小さなブランドは顧客数(浸透率)と購入頻度(ロイヤルティ)の両方が少ない」というダブルジョパディの法則があるとおり、多くのケースにおいては顧客数を伸ばすことが重点要素になることが示唆されます。
そこでどのようにして売上アップのために顧客数を伸ばすかの役立つ捉え方が「TAM(Total Addressable Market=実現可能な最大の市場規模)」ですよね。
超ざっくり言えば、そのビジネスの理論上の最大の売上規模みたいなものです。
そうすると、市場浸透率(シェア)に目が届きやすくなる。
売上=TAM×市場浸透率(シェア)に変えると、とたんに新規顧客獲得施策での伸び代がどれだけあるのか掴みやすくなりますね。
繰り返しになりますが、市場とは一人一人のお客さま、人間の集まりです。
どういう方には認知されていて、どういう方はまだ知られていないのか。
また、どういう方には買っていただいたことがあり、どういう方にはまだ買っていただけていないのかなど、浸透率を高めるための打ち手が考えていきやすくなります。
「超名簿思考」で捉え直すとするならば、シェア100%とは名簿が満杯になったということです。
また、自社が参入している市場が伸びていれば、売り上げも伸びやすいかもしれません。
名簿の行数が増え続けているなら、新規の顧客も獲得しやすそうですよね。
一方で、市場が縮小傾向の事業であれば、売り上げアップのためには競合からシェアを奪ったり、クロスセルをしたり、新しい事業に参入したりするくらいしかありません。
名簿の行数が減り、絶対数が減っている状態なのですから。
このように、
・人口増の社会においては、名簿の行が増え続けるイメージ
・人口減少の社会においては、名簿の行が減り続けるイメージ
という理解も助けれくれる思考ツールです。
なお、BtoBマーケティングにて市場開拓戦略を立てるときには、こんなイメージで考えていました。
・市場の全体像(TAM)の把握
・TAMのうち、自社のリードはどの行まであるか
・何行くらいの人たちは課題に気づけているか
このように「超名簿思考」を使うことで、漠然とした市場に立ち向かうことなく、お客様一人一人の単位で俯瞰した視点を得られるため、浸透率向上に向けた市場開拓戦略を立てやすくなります。
「消費者理解を深める」とは名簿の列が充実することだと思った
「超名簿思考」において、名簿の各列には顧客のデータが詰まっているイメージです。
各列の主な項目として、
・年収
・居住地
・職業
・最近そのブランドで買ったもの
・性格/特性
・よく見るメディア
・よく行く街
・フォローしているSNSアカウント
・将来の夢
・どういう帰属意識があるか
・今は仕事でどういう悩みを持っているか
・持っていそうな消費オケージョン
など無数にあるでしょう。
なお、InstagramやTikTok、YouTuber等のプラットフォーマーは、顧客の行動データ(クリック・閲覧・スクロール・検索など)を大量に保有していて、最適な人に最適なコンテンツの配信をしています。
これがレコメンデーションの技術です。
「あ、この人〇〇の動画を最近よく見てるから、出演者が出ている他の動画もおすすめ欄に出しておこう」といった感じです。
色々な行動データからどんな趣味趣向があるのかなど学習して、あなたへの理解を深めているのです。
このように、消費者理解が深まれば深まるほど、列を増やしていけますし、各列の情報量も濃密になるはずです。
自分自身や家族、友人など、身近な人たちを思い浮かべてみてください。
列の項目がたくさん思い浮かんできませんか?
それは、相手に対する理解が深いためです。
お客様像をはっきり思い浮かべられるということは、名簿の各行の各項目を超具体的にイメージできることと同じです。
消費者理解が浅いならば、きっと列は増やしづらいですし、各列の項目にはどんな内容が入っているかもイメージできないでしょう。
そして、いいセグメンテーションとは、いい意味を持つ列の情報で見込み客を分けることとも定義できます。
小手先のSEOやSNSなどの打ち手でどん詰まりになった時こそ、
もっとメタに、もっとマクロに視野を広げていきましょう。
今はどのような方がお客様で、どのような方が見込み客なのか。
その見込み客の方はどのような人たちで、どうしたら接触できて価値提案できるのか。
その見込み客の中でも、どのセグメンテーションは何人くらいいて、他のセグメンテーションは何人くらいなのか。今のフェーズや予算的に、どのセグメンテーションにアプローチすると効率的そうなのか、などです。
この「超名簿思考」という考え方が、売上アップに向けたアプローチ検討の思考法の一つとして参考になれば嬉しいです。
※現在の打ち手のマッピングや、認知施策やWeb施策の指標をひとまとめに整理して考えやすくなる「超ファネル思考」も合わせてどうぞ。





