テンション上げるかハードル下げるか【ちょんで人は動く】
2025.04.03
最終更新日:
2025/04/03

Webサイトやアプリなどのコンバージョン改善について、初学者に好評のメソッドをご紹介します。
それが「テンション上げるかハードル下げるか」です。
「テンション上げるかハードル下げるか」とは、スノードームが提唱しているコンバージョン改善の思考法です。
扱いなれない専門用語で苦しむことなく、馴染みのある自分の言葉で考えやすくなるように、既存の知識やノウハウを凝縮、加工してこのようなワーディングをしています。
詳しく解説していきます。
コンバージョンまでの運動を考えてみよう
突然ですが、道路のアスファルトをイメージしてみてください。アスファルトの上には、カーリングのストーンが置いてあるとします。そのストーンを、シャッと前に押し出してみてください。
…なめらかに動きましたか?
おそらくストーンがアスファルトに擦れて、ガガガッと削られたのではないでしょうか。なめらかではないし、動きもほとんどないはずです。いくら押す力があっても、摩擦力が高いとぜんぜん前には進みません。

これをコンバージョン改善に応用した考え方です。
あるユーザーにコンバージョンしてもらうにも、コンバージョンまでの距離があります。
そこに向かうためにも押す力が必要です。また、摩擦力が働いてきます。だから、押す力を強くするか、摩擦力を減らすかです。
そうして、解決のためのアプローチとアナロジーで思考しやすくしたものです。
このままでは物理のままの言葉です。もっと平易にして万人にも理解してもらいやすくするためのに、コンバージョンまでに必要なパワーを「テンション上げる」と表現しました。
コンバージョンまでの過程で発生する摩擦や抵抗を、いかに取り除くか。それを「ハードル下げる」と表しています。
なぜこのようないい回しにしたのか
マーケティングの世界では英語を翻訳したためか「動機」「障壁」という言葉がよく出てきます。
マーケティングを学び始めた頃の私は、言葉の意味は分かる。でも、「このWebサイトの障壁を除去せよ」と言われても、なんだかピンとこない……。
「はて? 何をすれば…?」
と感じていました。このマーケティングの世界にある独自の用語のままだと、うまく考えを広げていけなかったのです。
ビジネスやアカデミックの匂いのする「動機を形成」や「障壁を除去」という言葉を使うよりも、日常会話でも馴染みのある「テンション上げる」「ハードル下げる」と表現する方が、具体的な施策を思い浮かべやすくなったのです。なぜならば、自身の経験や身体感覚に根差しやすいからだと考えます。
そこから、「テンション上げるかハードル下げるか」と言い換えるようにしたのです。

例えばLP改善であれば、ファーストビューをパッと見て、「動機を形成できたか?」と考えるよりも「このファーストビューでテンションが上がるか?」と考える方が、ピンとくるのではないでしょうか。
「テンション上がるな」と感じたときは、ちゃんと商品の価値やベネフィットが伝えられている証ですから。
言葉選びという地味な違いではありますが、小難しい専門用語が多いマーケティングの世界では、こういった腹落ち感がすごく大切です。自分の言葉でリアリティをもって思考ができないからです。
コンバージョン改善における「テンション上げる」「ハードル下げる」の使い分け

「テンション上げる」「ハードル下げる」は、おそらく多くのケースにおいて「ハードル下げる」の方が使用頻度が高いと思います。
「テンション上げる」は、商品の性能に左右される場合がほとんどです。
良い商品であれば、良い価値提案ができますが、良くない商品を良く見えるように繕うことはできません。
なので、マーケティングの領域で「テンション上げる」には
「この価値を初心者の方向けにどのように伝えよう?」
「不安を感じさせないためにこういう情報を入れよう」
など、いろんなお客様の層に合わせて、訴求を変えるくらいに留まります。
■テンションあげる
「損失回避性(プロスペクト理論)」を応用する

人は「何かを手に入れよう」と思うよりも、「これを失いそう」と思う方が、手が伸びやすくなる性質をもっています。
「テンション上げる」には、こうした人間の「損失回避性」も活用できます。
「これを導入すれば売上アップ」というメッセージが響く人もいますが、「導入しなければ競合にシェアを奪われて売上ダウン」の方が焦る人もいますよね。
「売上ダウン」と言われると、ドキッとする方も少なくありません。ちょっとした言い回しの違いで人の心は反応します。
■ハードル下げる
「ハードル下げる」は、要するに「ユーザーがコンバージョンに至るまでのAtoZのステップをいかに簡単にするか」です。プロダクト側で出来る施策が多いでしょう。
「ナッジ」を応用する

ナッジとは、「ちょん」と軽くつつくようなイメージです。この軽くつつくような感覚は「ハードル下げる」に活かせます。
具体的な施策を考える際に役立ったのが、「スルッと」「ぬるっと」「とりま(とりあえず)」という3つの日本語でした。
こう言ったワードを使う方が、
「これではぬるっと登録できないな。じゃあ、この要素をもう少し上にもっていこう」
と、ハードルの下げ方を考えやすくなります。
日本語のなかでも独自のワーディングではありますが、「ぬるっと登録できる」「とりま詳細見る」のようによく使っていました。
心理的なハードル
また、「ハードル」にはフィジカルなものもあれば、心理的なものもあります。
例えばBtoBサービスですと、専門的な商品がいっぱいあって、「どれを選んだらいいのかわからない」というケースも多くあります。

そんな時は、人が本来もっている「リスクを避ける生き物」「面倒を避けたい生き物」という性質を思い出し、それを踏まえて心理的なハードルを下げる術を考えてみてください。
リスクや面倒を避ける性質には、以下のような訴求が響きます。
・No.1訴求
・社名ロゴを並べて「あの有名企業も導入」と訴求する
・ソートリーダーシップ
・うちの業界も実績あり
・専門家アピール
・中小企業も導入
人間の心理特性も理解しておくと、お客様にとっても腹落ち感のある施策が浮かびやすくなります。ハードルを下げる方法を発想する幅が広がります。
先人の知恵を凝縮したメソッド
「テンション上げるかハードル下げるか」は、いろんな先人のノウハウをギュッと圧縮したものです。
以下のような知見が詰め込まれています。
・BJフォグ氏の【フォッグ式消費者行動モデル】
・リチャード・セイラー氏とキャス・サンスティーン氏の【ナッジ】
・ダニエル・カーネマン氏と、エイモス・トベルスキー氏の【プロスペクト理論】
・筆者のムロヤが在籍していた人材ベンチャーの頃のみんなの【実践知】
など。
それらを扱いやすいメソッドに昇華したのが【テンション上げるか、ハードル下げるか】なのです。

他にも、行動科学やグロースハックの世界の方程式も根底にあります。

■フォッグ式行動モデル B=MAT
フォッグ式行動モデルは、行動科学のフォッグ先生が生み出したものです。
行動というものは「モチベーション(Motivation)」「行動の能力(Ability)」「きっかけ(Trigger)」の3つが同時に起こったら行動(Behavior)が起こるという考え方です。
■ショーン・エリスの方程式
「グロースハック」という言葉の生みの親であるショーン・エリス氏が考えたのは、「Conversion = Desire - Friction」という方程式です。
プロダクトを使いたい欲求(Desire)を高めるか、そこに至るまでの摩擦(Friction)を下げるかという考え方ですね。
まとめ
「テンション上げるかハードル下げるか」は、Webサイトのコンバージョン改善のアイディア発想に使えるメソッドです。
動機・障壁よりもなじみがあって、扱いやすいのではないかと思います。
扱いやすく、分かりやすい分、チーム内の共通言語にもしやすいはずです。そうなれば、組織としての実行力も高まりますよね。
ぜひ日々のコミュニケーションに取り入れて、活用してみてください。
「テンション上げるかハードル下げるか」については、SEOコンサルティングやデジタルマーケティング支援、オウンドメディア運営などを行う株式会社LANY様とのコラボレーションによるYouTube動画でも話しているの併せてご覧ください!
【LANY×スノードーム YouTubeコラボ企画 第2弾】「テンション上げるか、ハードル下げるか」-






