顧客視点は持てなくて当たり前。その前提で仕組みを変えよう

2024.11.18

最終更新日:

2024/11/18

共有する

「お客様の立場で考えよう」と思っていても、
ふと気づくと自社の視点で考えてしまうことってありませんか?

以前に、こんな興味深い気づきがありました。

Facebookのタイムラインで、複数の某B2Bツールベンダー主催のセミナー広告を見かけました。

どれも広告のクリエイティブが似たり寄ったりの「セミナータイトル+登壇者の大きな顔写真」の構成だったのです。そして登壇者の方々は経験豊富だとは思うのですが、お名前を存じ上げない方の顔写真が大きく扱われているのが特徴でした。

これをみて考えさせられたのが、効果的な訴求方法です。

例えば知名度がない登壇者を起用する場合、セミナータイトルをもっと大きくし顔写真を小さくしたり、もっとセミナーで得られる具体的な学びを大きく表示したり、参加者が得られる価値をより明快に明確に伝える工夫の余地があるのではと思ったのです。

なぜ私たちは「お客様の立場」で考えることが意外と難しいのか?

顧客視点を持つのが難しい理由を考えてみると、人間の認知特性や組織特有の問題が隠れていることに気が付きました。

3つご紹介します。

理由1:サボろうとする脳。陥るテンプレート思考

一つ目の要因に「テンプレート思考に陥る」が挙げられます。
業界の「お作法」を守ることに囚われてしまうのです。

例えばB2B SaaS企業でマーケティングに取り組む際、
「ホワイトペーパー施策がまだできていなかったな。よし、ホワイトペーパーを作っていこう」とテンプレート化された手法に飛びついてしまいます。

顧客視点に立つと、
「世の中、ホワイトペーパーが溢れすぎている。下手にホワイトペーパーをダウンロードすると、すぐに営業電話がくる」というネガティブな印象を持たれることも多いです。

しかし、そういった顧客の思いを考えず、よくある手法やテンプレートに飛びついてしまうのです。

ホワイトペーパーのダウンロード数よりも、セミナーによる顧客接点を作った方がよいかもしれません。ダウンロード不要のホワイトペーパーでブランディングを行い、検索してもらう方針もよいかもしれません。そもそも現状はリード獲得ばかりを目指さない方が良い可能性も、あるかもしれません。

このようなテンプレート思考に陥ってしまう理由は、脳のサボり癖にあります。

脳には負担がかかることを避ける特性があり、考える手間を省いてくれる手法論を求めます。

そして、不安定で臨機応変な対応が求められる時代だからこそ、手軽に自社の施策に変化を与えてくれるテンプレートに、脳は安心を求めます。

このように「サボろうとする脳の働き」によって、自動的にテンプレート思考に陥ってしまいます。

理由2:流行りに飛びついてしまう

二つ目の要因に「外部からの強い誘惑」があります。

例えば、SNSやニュースサイトを見ていて「自分の知らない新しそうな言葉」が飛び交っていると、気になっちゃいますよね。今だと、ChatGPTなどの生成AIや新NISA、SDGs、リスキリング、DXなどが挙げられます。

それらを目にして、「自社ではやっていないから、後れを取っているかも」と焦ったり、必要性を吟味せずに「とりあえずやってみよう」と判断したりすることもあるでしょう。

それくらい「新しそうな言葉」は魅力的に見えますし、メディア側も、読者の注目を集めるために多用しています。

また、メディアだけでなく、商品やサービスを売る企業からの「誘惑」もあります。

例えば、B2Bツールベンダーであれば、そのツールを売るために「ポスト〇〇時代」「次世代の〇〇マーケティング」といった言葉で、買い手を惹きつけようとします。

このような環境下では、誘惑に惑わされないことの方が難しいでしょう。

人間は社会的動物。同調圧力などがはたらき、ついつい流行り言葉に飛びついてしまうのです。

理由3:組織に引きずられる内向き志向

三つ目の要因に「内向き志向」が挙げられます。

「中長期的な仕込みはもちろん大事だけど、いまは目の前のKPIを改善しなければ」
「今月あと100万円分の売上を作らなければ」
「リード数どうしよう」
「PV数どうしよう」

といった内向きな考えに陥ってしまうのです。

例えばSNSフォロワー数が目標としておかれてさらに評価にも紐づいていると、仮にフォロワー数を増やすことに意味がなかったとしても、目標を達成しなけば評価されません。

人は自己保存の法則にしたがうので、組織から評価され、生き残る努力をします。

このような組織では、フォロワー数を無視して顧客視点を大切にする行動を取ることは難しいでしょう。

顧客視点を持つための心構え

このように要因を見ていくと、顧客視点を持つことが決して容易ではないと分かります。

放っておくと脳はサボってテンプレート思考に陥い、外部から誘惑され、組織評価を追い求め内向き志向になってしまう。

「顧客視点を持つことは当たり前」と思われることが多いでしょうが、この構造を目にすると、当たり前のことを当たり前にできなくて、当たり前だと思えてきませんか?

「当たり前のことを当たり前にできなくて、当たり前」と認めたうえで、仕組み化などで対策していきたいところです。

例えば施策立案の際には、
「この施策は、本当に自社のビジネスに合っているのだろうか?」
と、自社の現実と照らし合わせて考える仕組みを入れること。

誘惑に駆られ、テンプレート思考に飛びつく前に、現実を見るのです。

テンプレート思考に陥らないためのドキュメントワークのテンプレート化とも言えるかもしれません。

他には月に1回は顧客に会いに行くことを推奨するとか。

このように、顧客視点を得られるような取り組みを仕組み化する方法もあります。

まとめ

顧客視点を持つことは、当たり前ですが、決して容易ではありません。
「簡単」と「当たり前」は別論点ですよね。

不確実性が高い時代には、「~すべきだ」という正論や理想論が力を持ちます。
不安ゆえに多くの人が「正解らしいもの」に飛びついてしまうからです。

しかし、そうした手法論やテンプレートに飛びついて現実から目を背けてしまうと、
成功はできません。正しく現実を見据えたうえで答えを導き出していくことです。

顧客視点は持てなくて当たり前。

その前提で仕組みを整えていったほうが現実的だと思いませんか?

共有する